「営業する時間がない」を自動化で解決したら、1日100件できるようになった話
営業に使える時間は、1日1時間しかなかった
正直に言う。
経営者が「ちゃんと営業する」のは難しい。商談・プロダクト開発・バックオフィス・採用……やることが多すぎて、営業リストを作る時間が1日1時間も取れない日がほとんどだった。
問題は、その1時間では全然足りないことだ。
- リストアップ:1社ごとにサイトを見て、自分の実績や支援内容に合うかを判断する。1社あたり3分。
- 送信:1社ずつ文面を調整して送る。1社あたり3分。
1社あたり合計6分。1時間でできるのは 10社が限界 だ。「営業が足りない」と感じながら、でも時間が作れない。このジレンマを解決したのが、n8nと中小企業向け自動化ツールの組み合わせだった。
課題に気づいてSalescaseを作った
問題の根っこは「マッチング」にあった。営業リストを作るとき、一番時間がかかるのは「この会社、自分の仕事と合うかどうか」の判断だ。
- 動画制作の実績はあるか
- BtoBの営業支援を必要としていそうか
- 自分の過去事例と業種・規模感が近いか
この判断を、1社1社手動でやっていた。ある日、「この判断ロジックを言語化して、AIに渡せるんじゃないか」と気づいた。そこから作ったのが SalesCase だ。
SalescaseはAIを使った営業支援ツールで、核心にあるのは「課題抽出とマッチング」のロジックだ。自分の実績・支援内容・ターゲット条件を定義すると、それに合う企業を自動でリストアップしてくれる。最初は自分の営業課題を解決するために作った。外販ツールとして育てる前に、まず自分で使い倒した。
n8nで中小企業の営業を自動化した手順
SalescaseのロジックをベースにしてClaude APIと接続し、n8nでフローを組んだ。n8nはノーコードで自動化ワークフローを構築できるツールで、中小企業の業務自動化に向いている。
- 毎日自動でリストアップ:Salescaseのマッチング条件に合う企業を100件抽出
- 自動で送信:各企業に合わせた文面を生成して送信
これで、1時間かけて10社しかできなかったものが、自分が何もしなくても毎日100件動くようになった。
「100件送信」というと大量送信のように聞こえるかもしれないが、そうじゃない。1社ずつ、その会社の課題や状況に合わせた文面を生成して送っている。Salescaseのマッチングロジックが「自分の実績に合う会社だけ」を選ぶので、関係性のないリストに一斉送信しているわけでもない。
中小企業がn8nを使った自動化を導入する際、このように「判断ロジックをAIに渡す」設計が鍵になる。
非エンジニアが一番詰まった場所
ここまで読むと「なんかすごそう」と思うかもしれない。実態を言うと、詰まりまくった。
エラーが出ても何が悪いかわからない
n8nのワークフローを動かすと、エラーが出る。当たり前のことなんだが、最初はそのエラーメッセージを見ても「何が起きているのか」が全然わからなかった。プログラマーなら「ああ、これはAPIのレスポンス形式の問題だな」とすぐわかる。でも非エンジニアには、エラー文の何がポイントなのかすら見えない。
Claudeの返答が英語で感覚がつかめない
Claude(AIアシスタント)にエラーを貼り付けて聞くと、英語で返ってくることが多い。内容はGoogle翻訳で読めるが、「で、どこを直せばいいの?」という感覚がしばらくつかめなかった。
スクショ→質問ループが一番消耗した
結局、一番時間がかかったのはこのサイクルだ。動かす→変な画面になる→スクショを撮る→Claudeに「今この画面なんだけど、どうすればいい?」と聞く→指示通りにやる→また変な画面になる……このループを何十回も繰り返した。
ただ、これを繰り返しているうちに「エラーの読み方の感覚」がついてきた。「この文言が出たら、たいていここが原因」というパターンが蓄積されてくる。非エンジニアでも、続けることで確実に精度が上がる。
今どうなったか
1時間かけて10社しかできなかった営業が、毎日100件自動で動くようになった。その分の時間は、商談の準備・提案書の精度を上げること・プロダクトの改善に使えている。
「自動化すると営業が雑になるんじゃないか」と思っていたが、逆だった。マッチング精度が上がり、送る相手を絞り込めているので、返信率が上がった。数より質に集中できるようになった。
n8nを使った中小企業の業務自動化は、最初のハードルさえ越えれば、非エンジニアでも十分に運用できる。重要なのはツールの習熟よりも「何をAIに判断させるか」のロジック設計だ。
SalescaseとClaude×n8n自動化について
この記事で紹介した SalesCase は、自社の営業支援ツールとして開発・外販しています。「自分の実績や支援内容に合う会社をAIで絞り込み、営業リストと送信を自動化する」仕組みを、他の企業でも使えるようにしたものです。
また、Claude CodeとN8Nを使った業務自動化の仕組みについては、別記事で詳しく解説します。非エンジニアがどうやって自動化環境を構築したか、どこで詰まってどう乗り越えたかをステップ形式でまとめる予定です。
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この記事は工藤駿(シュンク堂)が実際に構築・運用しているシステムをもとに書いています。数値はすべて実績ベースです。